顔
ものをよくかむ人のえらは張っている
耳から頬骨の間で、下顎の角のすぐ上あたり、そこを触れながらかんでみてください。硬くなったでしょう? 次いで、こめかみを押さえてかんでみてください。やはり硬くなったでしょう。どちらも、ものをかむときの咀嚼運動で使われる筋肉なので、「咀嚼筋」といわれるグループに入ります。下顎の角付近の筋は、そのものズバリ「咬筋」といいます。もう1つの、こめかみおよびその上は側頭部なので、「側頭筋」といいます。
生きていくために、体はいろいろと働き、さまざまな動きをします。心臓は血液を体中に運ぶポンプの役割をしています。栄養をとるため、口から食道、胃、腸へと食ぺたものを運びます。これらの運搬作用も筋肉が行います。心臓の壁も心筋といわれる筋肉、食道も胃も腸の壁も内臓筋といわれる筋肉でできています。歩く、もつ、投げるなどの運動は、骨がつながっている関節を動かして行われ、そのための筋肉を「骨格筋」といいます。
ガイコツの鼻の孔が大きいわけは?
みんな鼻の骨の先が欠けている、というわけではないのです。自分の鼻先から鼻筋をつまむようにして、鼻の根っこ付近まで押してみてください。鼻の根っこに近づくと、硬くなることに気づきませんか? デコピンをするように鼻先から指ではじいてみてください。鼻の根っこに近づくと、ゴツゴツと音がするでしょう。途中から根っこ付近までが骨なのです。鼻の骨(鼻骨)は、本当に短く小さな骨です。ですが、ボクサーが試合で鼻骨骨折するのは、この部分です。
それ以外はといいますと、鼻先を強く押してみてください。ペチャつとへこみますよね。鼻ペチャになってしまいます。そこは骨ではなく、軟骨だからです。「鼻尖軟骨」といいます。鼻の孔をふくらますと盛り上がる小鼻(鼻翼)も軟骨で、「鼻翼軟骨」といいます。それどころか、前述の鼻中隔ですが、両方の鼻の孔に指を突っ込んでつまめる入口付近は軟骨で、「鼻中隔軟骨」といいます。牛などで輪っかをつけているところですよ。そういえば、人も小鼻にピアス、鼻ピアスをつけますね。
ピアスといえば耳たぶ、耳介にもつけます。この耳介も軟骨でできており、祈り曲げても痛く感じなく折れるし、離すともとにもどります。「弾性軟骨」という組織によって作られています。軟骨組織には神経がないので、牛の鼻輪も鼻ピアスや耳のピアスも、皮膚の痛みぐらいであまり痛みを感じません。一方、骨組織は骨膜に神経が入り込んでいて、弁慶の泣き所であるすねの骨や、鼻骨などのように、打ったりぶつけたりすると痛みを感じます。
さて鼻の話ですが、動物は死ぬと骨以外が腐敗してなくなります。ガイコツも鼻の軟骨部がなくなって、大きな孔になるのです。
ドイツ人など鼻の根っこの上が出ているのはなぜ?
鼻は、体内への空気の取り入れ口になっています。内壁の粘膜がフィルターの役割をはたし、接地面積が広いほうがよいので、
孔を2つに分ける中隔があったり、甲介というヒダのようなでっぱりがあったりしました。この粘膜の役割は、フィルターだけでなく、頻繁に鼻クソをほじると鼻血が出るように、血管に富んでいて、冷たい空気が入ってくるときに保温する役割があります。
骨には中まで詰まっているものや、中が空洞になっているものがあります。この内部に空洞をもっている骨が、鼻のまわりに集まっているのです。その空洞は、鼻の上の前頭骨内部や、鼻の脇の上あごの骨の中などで、空洞には空気が入っているので「含気骨」と分類されています。
口も鼻も1つなのに鼻の孔はなぜ2つなのか?
空気の取り入れ口である鼻は、取り入れた空気にほこりゃごみが混じっているとき、中の粘膜で取り除いています。取り除く粘膜の面積が広いはど、きれいに取り除けます。そのために、孔の真ん中で仕切り、粘膜の面積を広くしています。この仕切りを「鼻中隔」といいますが、これが左右どちらかに曲がっていることがあります。「鼻中隔湾曲」といいますが、曲がっているほうの孔が狭くなることで、鼻詰まり(鼻閉)の原因の1つといわれています。
鼻の孔の中は「鼻腔」といいますが、真ん中の境だけでなく、外壁から3つのでっぱりが鼻中隔に向かって入り込んでいます。これを「鼻甲介」といい、上鼻甲介・中鼻甲介・下鼻甲介に分けられます。
鼻と口、そして耳もつなかっている
口から吸ったたばこの煙を鼻からくゆらすのは、鼻の中の奥と口の中の奥が、同じ咽に続いていることを理解すれば、納得できます。このたばこの煙を、耳から出す人を見たことがあります。これもできなくはないのですが、鼓膜に孔が開いていないと、耳からは出てきません。鼻をつまんで、口から吸った息を鼻のほうに送ってください。このとき、耳の中で押された気がしませんか。鼓膜が内側から空気によって押されたのです。これって、トンネルに入ったり、高層ビルや高山に登って耳が聞こえにくくなったときや、ダイビングのときに行う耳抜きと同じですよね。
音は、空気の振動として耳に入ってきます。耳の孔から外耳道を伝わってきます。その先に鼓膜があります。鼓膜の先を、鼓室または中耳といいます。そう、中耳炎になるところ。外耳道と鼓室は、鼓膜によって隔てられています。膜の振動は、その両脇の空気圧が同じでないと、よく振動しません。鼓膜より先、鼓室内の空気は、呼吸器官から体内に取り入れた空気の一部です。鼻の孔の先、咽の上部の壁に鼓室との連絡のための管があります。これを「耳管」といっています。その耳管の壁は筋性で、ペチャッと詰まってしまうことがあります。空気の薄い高いところへいき、外耳道内にその薄い空気が入っていて、耳管が詰まっていた場合、呼吸器を通る薄い空気が鼓室に入っていかなくなり、鼓膜をはさんで薄い空気の外耳道と濃い空気のままの鼓室となってしまい、鼓膜がうまく振動しなくなって、聞こえにくくなります。
そこで耳抜きをして、耳管の詰まりをなくし、薄い外気を鼓室内へと運ぺば、鼓膜の振動がもどって、聞こえがもとどおりになるというわけです。
飲んだ牛乳を眼から出す人がいます
うるうるしたとき、目頭を押さえます。「涙腺」がゆるんでしまって」などといいながら……。でも、涙腺は上まぶたの目尻側にあるのです。そこで作られた涙は、眼球をしめらせて下瞼で受けられています。涙もろくなって涙があふれると、下瞼から頬をぬらすことになります。眼球をぬらしてきた涙は、下瞼で受けられ、日頭側に流れて寄ってきます。
そのあとは鼻に抜けるのです。どうやるかといいますと、「あかんベー」と下瞼を引っ張りながら目頭側のヘリを見てください。小さな孔を見つけることができると思います。そこから涙を吸い込んで、鼻の根っこにある「涙嚢」という袋にためます。その涙嚢から涙を鼻に運ぶ管があります。これを「鼻涙管」といいます。鼻の上唇に近いはうにその鼻涙管の出口があります。泣いたときに鼻水が出ますよね。
その鼻水、上唇にまで垂れてきませんか? 上唇から口の中に入ったとき、少々しょっぱいと感じませんでしたか? 涙の原料は血液なのです。血液から赤血球や白血球などの血球を除いた液体成分が、涙なのです。
右眼と左眼、別々に動かせますか?
さあ、顔を動かさないで上を見てください。次に、右眼は上を、そして左眼は下を見てください。できませんか? 下を見るのも左右いっしょに動きます。では、右を見てください。右眼は外、目尻側に、左眼は内、目頭側に動きます。今度は、鼻先を見るようにしてください。左右とも目頭側に動きますね。では、左右とも外側、目尻側に動かしてみてください。できませんよね。目頭側、寄り眼はできますが、左右とも目尻側を見るのは無理だと思います。
眼球を動かす筋肉は、眼の奥に6種類あります。それぞれ眼球の後ろ、上下内外よりまっすぐに向かっている筋で、上直筋・下直筋・内側直筋・外側直筋といわれています。そのほか、斜めに走っている筋で、上斜筋・下斜筋というのがあります。