コレステロールの歴史
「コレステロール」という言葉は、ギリシヤ語の「chole(コレ)」と、「sterol(ステロール)」の複合語です。「chole」は胆汁を、「sterol」は固体(物質の基となる複雑な化学構造)を意味しています。
コレステロールが発見されたのは、19世紀前半のことですが、人の体の中には、もちろん太古から存在しており、人類の歴史の9割を占める飢餓の時代には、コレステロールが高い(=栄養を体に蓄えやすい)家系のほうが、長寿の人が多かったと考えられています。
しかし、現代のような飽食の時代では、生きるために必要な脂質が体にたまリ過ぎ、それが健康を脅かす一要因になっています。
19世紀前半
フランスの科学者がコレステロールを発見。胆石にアルコールを入れ、溶解して結晶になる物質を見つけたのが最初。
19世紀半ば
動脈硬化が進行した血管に、コレステロールが多量に沈着していることが発見される。
1913年
ロシアの科学者が、ウサギに多量のコレステロールを摂取させ、それによって動脈壁にコレステロールがたまり、動脈硬化が起こっていることを確認する。
第一次・第二次世界大戦中
長期化する戦争によって食料不足が深刻化。もともと虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)が多かったヨーロッパ諸国で、その患者数が激減。動脈硬化性疾患とコレステロール摂取との関わりが、研究者たちの興味をひく。
戦後
欧米で、コレステロールと動脈硬化性疾患に関する疫学的調査が始まる。
1960年代
コレステロールは血液中に単独で存在するのではなく、数種類のリポたんぱく(LDL、HDLなど)に含まれながら移動していることが発見される。
1970年
欧米7力国を対象としたSeven-Countries試験で、動物性脂肪を多く摂取する国では、血清中の総コレステロール値が高く、虚血性心疾患による死亡率が高いことが判明。
1971年
米国のフラミンガム研究で、総コレステロール値が220mg/・以上の人に、虚血性心疾患の発症率が高いことが確認される。
1970年代後半
総コレステロール値の高さと別の因子として、HDLコレステロール値が低いと動脈硬化が進行しやすいことが指摘され始める。
1980年代
動脈硬化性疾患を引き起こす要因として、総コレステロール値の高さに加え、高血圧、喫煙、糖尿病、加齢なども深く関与することが指摘される。
1990年代~現在
日本でも、約54、000人を対象とした」-LIT(JapanLipid lntervention Trial)など大規模な疫学的調査が行われ、動脈硬化性疾患の予防に関するデータが示される。また、sdLDLやRLP-Cなど新たなリポたんぱくが発見され、動脈硬化の予防には、コレステロール値を量的に管理するのではなく、ほかの危険因子との関係をふまえつつ、量と質の両方をコントロールすることが重要になってきている。
