高コレステロールがもたらす病気
コレステロール値が高いと、高脂血症と診断されます。動脈硬化のリスクを知らせる黄色信号です。
高脂血症は”沈黙の殺し屋”放置すると命の危険も
コレステロール値の管理が大切なのは、前述のように、動脈硬化によって起こる心筋梗塞や脳梗塞などの予防のためです。
しかし、コレステロール値が高くなっても、自覚症状は出ないので、動脈硬化のリスクを把握しにくいところがあります。
そこで、コレステロール値が高いことを認識し、早めの療養を促す意味を持つのが、コレステロールなどの血清脂質の量を診断基準とする病気「高脂血症」です。
高脂血症は、糖尿病や高血圧などと同様に「サイレント・キラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれており、自覚症状がないまま、生命を奪う病気にまで進行しやすい生活習慣病のひとつです。
現在のところ、糖尿病や高血圧に比べると、危機感を抱かれにくい病気ですが、動脈硬化の話からもわかるように、進行すると命にもかかわります。放置せずに、早めに自己療養を始めましょう。
高脂血症の種類
※【】内は診断基準。
血清脂質の高さの違いによって、4タイプに大別されます。
高コレステロール血症
- 【総コレステロール220mg/dl以上】
- コレステロールがとくに多いタイプ。
- 日本で急増している。
高LDLコレステロール血症
- 【LDLコレステロール140mg/dl以上】
- LDLコレステロールがとくに多いタイプ。
- 狭心症や心筋梗塞につながりやすい。
低HDLコレステロール血症
- 【HDLコレステロール40mg/dl未満】
- HDLコレステロールが少ないタイプ。
- 動脈硬化の進行が加速化しやすい。
高トリグリセリド血症(高中性脂肪血症)
- 【中性脂肪150mg/dl以上】
- 中性脂肪がとくに多いタイプ。
- 急性豚炎、脂肪肝を起こしやすい。
家族性高コレステロール血症
食事などの生活習慣に問題がなく、ほかの病気の合併症もないのに、遺伝的な体質が原因でコレステロール値が高くなる病気です。
細胞がLDLコレステロールを受け入れる機能(LDL受容体)が弱いために、子どものころから、コレステロール値が高くなります。
普通の人より動脈硬化が進行するのが早く、心筋梗塞による死亡率は一般の人の約10倍と言われます。
食事療法を中心とした治療が行われ、運動療法や薬物療法も併用されます。
コレステロール値が高くなる理由と低くなる理由
コレステロール値は、体のさまざまな状態を反映して、高くなったり低くなったりします。一概に「高いから悪い」「低いからよい」とは言い切れません。検査値の増減を体が発しているシグナルとして受け止め、健康管理の指標のひとつにしましよう。
高くなる理由
食事からコレステロールを摂取する量が多いか、体内でコレステロールを作る量が多いかのどちらかです。
体が必要とするコレステロールのうち、70~80%が肝臓などで合成されているので、総コレステロール値が高いときは、割合の上から、まず体内で増え過ぎていることが考えられます。
コレステロールが増え過ぎる原因のひとつは、LDL受容体や酵素などの働きが弱いことです。また、コレステロールを成分の一部とする胆汁や胆汁酸を作る酵素に関わる機能が遺伝的に弱い場合も、コレステロールが増加します。
さらに、肝臓がコレステロールを排出する力が弱くなると、コレステロール値が高くなります。また、ネフローゼ症候群など腎臓が悪くなると、肝臓がその機能を補おうとしてコレステロールを多めに作り、コレステロール値が高くなることもあります。ほかに、糖尿病、甲状腺機能低下症などでも、コレステロール値は高めになります。
低くなる理由
まず、コレステロールを作る肝臓の機能が低下していることが原因として考えられます。また、肝臓からコレステロ一ルを血液中に送り出すアポたんぱくが体質的に少ない場合や、ガンなどコレステロールを消費する病気にかかると、コレステロール値が低くなります。
「コレステロール値が低いとガンになりやすい」という説には、明確な根拠はなく、(ガンになる→コレステロ一ルが消費されやすい→コレステロール値が下がる〉というのが正確なところです。よって、食生活の改善や運動を行うことなしに、コレステロール値が下がってきたら、手放しに喜ばず、体の異常を疑ってみることが必要です。
また、甲状腺ホルモンが増える(甲状腺機能充進症)と、コレステロールが減少してしまいます。そのほか、遺伝的な要因によってコレステロールの吸収が弱い人もいます。この場合も、コレステロール値が低くなり、免疫機能などに障害が出やすくなることかあります。
